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    風立ちぬ

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    アニメーションは、そのすべての造形が、動きが、色が、音が、どんな些細な要素も、監督の意志・世界観として人工的に作られる。そこに偶然は入り込まず、すべて、宮崎駿が要ると判断したから、空間や時間軸にそれが描きこまれている。

    これが実写映画との大きな違いであり醍醐味で、そこではとことん自分の美学を追求できるはずで、その中での宮崎駿という人物の才能、技術、完璧主義な性格によってつくりだされた作品は、圧倒的な位置に君臨してきた。

    実写でなく、すべてを自分でコントロールできるアニメだからこそ、宮崎駿のその凄さは何倍も増幅され、世界屈指の映像を生み出してきた。

    最近、風立ちぬのドキュメンタリーも見たけど、72になってもなお、その世界を支配・独裁し続けようとする欲望がまったく衰えてないことに本当に驚かされる。

    そんな人の新作がもう見れなくなるかもしれないと思うと、ちと悲しい。物心ついた時から観てきたアニメの監督だから、感慨もひとしお。またいつもの引退詐欺であることを願っているし、死ぬまで創作意欲も支配欲も消えない人だと思っているけど。

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