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風立ちぬ
風立ちぬ

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  1. 劇場で2回見ました。
    初見の感想は、「1秒も退屈しなかった」という一言です。わくわくして、驚いて、喜んで、悲しくなって、いろんな感情に揺り動かされました。

    「ぼくらのエンジンは非力だ、軽く丈夫な機体を作るのがぼくらの仕事だ。削れるだけ削り表面をなめらかにして空気抵抗をへらす。スッカラカンのフルメタルの世界中どこにもないヒコーキがぼくらのヒコーキだ」

    という一連の台詞はしばらくスマホの壁紙にするくらい好きな台詞でした。チームの進むべきゴールと超えるべき壁を端的に表現し、メンバーを動かす。こんなプロジェクトマネージャーが欲しい、なりたいわー。

    好きなシーンは、九試単戦の初飛行で、二郎が着地を見届けずに、そっぽを向いてパンする演出(主体から見て左手へのパンは「客体が行ってしまうのを見送る」意味があって、先に行ってしまう、もう会うことはない、という演出)。人生が結実する瞬間を見届けないくらい、大切だった命が静かに消えていくのを感じてしまう。二郎は冷たいとか言われてるけど、飛行機よりなほこを愛してたと思う、不器用だけども。
  2. アニメーションは、そのすべての造形が、動きが、色が、音が、どんな些細な要素も、監督の意志・世界観として人工的に作られる。そこに偶然は入り込まず、すべて、宮崎駿が要ると判断したから、空間や時間軸にそれが描きこまれている。

    これが実写映画との大きな違いであり醍醐味で、そこではとことん自分の美学を追求できるはずで、その中での宮崎駿という人物の才能、技術、完璧主義な性格によってつくりだされた作品は、圧倒的な位置に君臨してきた。

    実写でなく、すべてを自分でコントロールできるアニメだからこそ、宮崎駿のその凄さは何倍も増幅され、世界屈指の映像を生み出してきた。

    最近、風立ちぬのドキュメンタリーも見たけど、72になってもなお、その世界を支配・独裁し続けようとする欲望がまったく衰えてないことに本当に驚かされる。

    そんな人の新作がもう見れなくなるかもしれないと思うと、ちと悲しい。物心ついた時から観てきたアニメの監督だから、感慨もひとしお。またいつもの引退詐欺であることを願っているし、死ぬまで創作意欲も支配欲も消えない人だと思っているけど。

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  3. サバ食べたくなる